新しく迎えた猫に、最初に覚えてもらうのがトイレの使い方です。
猫は本能的にトイレを使う習性がありますが、間違った場所でしてしまったり、トイレを促してもなかなかしないことに悩んでいる飼い主も多いと思います。
適切な排泄ができないと、猫にとってはストレスを感じるだけでなく、膀胱や腎臓の疾患を助長してしまうことにもつながってしまいます。
この記事では、猫のトイレトレーニングに関する情報を載せていますので、ぜひ参考になさってください。
1. トイレトレーニングのステップ
トレーニングを始める時期
子猫の場合、生後3〜4週目くらいから、自力で排泄を行うようになります。この頃からトイレトレーニングを始めましょう。
通常は子猫は親猫の仕草からトイレの仕方を覚えます。生まれてすぐに親猫と離れてしまった子猫などはトイレの仕方がわからないこともあります。猫のトイレサインを見逃さないようにして、サインが見られたらトイレに連れて行くことが大切です。
具体的なトイレトレーニングの方法
トレーニングの初期段階では、トイレの場所を覚えさせることが最も重要です。床の匂いをかぎながらウロウロしているのを見かけたら、トイレのサインかもしれません。その後に床をかきかきしたり、匂いを嗅いだ上に座ったりしたら、ほぼ間違いないくトイレと思っていいでしょう。すぐに猫をトイレに連れて行き、猫砂を掘る動作を見せてあげます。猫が同じ行動を取ったら成功です。
トイレをしている姿が愛らしくても、じっと見つめるようなことはやめましょう。元々猫は見つめ合うのがあまり好きではありません。特に自然界ではトイレをしている時は無防備になりやすく、警戒心を強めていることも多いです。そんな時にじっと見つめられたら、出るものも出ないといったところでしょうか。
はじめはトイレに連れていってもなかなかしないことも多いと思います。でも根気よく続けていけば必ず正しい場所を覚えることができます。上手にできたら、しっかり褒めてあげましょう。
トイレ誘導のタイミング
猫がトイレをしたくなるタイミングは、主に食後や起床後、そして運動後です。また、子猫のうちは2〜3時間置きにトイレに連れて行き、排泄を促しましょう。
しかし決して無理強いしてはいけません。トイレに行くこと自体が嫌な思い出として残ると、よけいにトイレを避けてしまうことになります。
なかなかトイレの場所を覚えない場合は、おしっこがかかった砂や新聞紙、トイレを拭いたティッシュなどをトイレに置いておくことで、トイレの場所を認識しやすくなります。
2. トイレの準備
猫用トイレには、オープンタイプ、カバー付きタイプ、自動掃除機能付きタイプなど、さまざまな種類があります。猫砂にも形状や素材の異なるものが数多く販売されています。猫の性格や好みに合わせるほか、飼い主の掃除のしやすさも考慮して選びましょう。
猫用トイレの選び方
トイレの形状と特徴について以下のようにまとめてみました。ぜひ参考にしてください。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
オープン(箱)型 | 底が浅く四角いトレーのような形状 最もシンプルなもの | 安くて水洗いがしやすい | ヘリが低いため砂がこぼれやすい |
ハーフドーム型 | トイレのヘリに低い壁が取り付けられているタイプ | 砂を引っかいても砂が飛び散りにくい | オープン型より価格が高め |
ドーム (フルカバー)型 | トイレ全体を覆うようにカバーが付けられている 入口から出入りするタイプ | 砂が飛び散らない 猫が安心して排泄できる | 中の様子が わかりにくいためトレーニングがしにくい |
筒型 | 大きな筒型で猫がすっぽり入る形 上部の穴から出入りする | 子猫やシニア猫は出入りがしづらい | |
システムトイレ (砂落とし)型 | すのこ状の底面の下にもう一枚トレーがあり、便は上部の猫砂で、尿は下のトレーのおしっこシートが吸収する | 便の場合は猫砂の部分だけを捨てるため、猫砂が長持ちする | 他のトイレと比較して高価なものが多い |
猫の性格や好みに合わせて最適なトイレを選びましょう。
プライバシーを重視する猫にはカバー付きトイレ、子猫やシニア猫はオープン型やステップのあるもの、掃除がしやすいタイプを求める飼い主にはシステムトイレが適していると思います。
最適なトイレのサイズ
猫のトイレは、体長の1.5倍程度の長さが理想的といわれています。トイレのふちに足を乗せて排泄している場合は、トイレが小さすぎるかもしれません。
子猫の時に購入したトイレを、そのまま成猫になっても使っている場合、サイズが合わなくなっていることが多いです。
猫砂の選び方
猫砂についても、代表的なものをまとめてみました。
種類 | 特徴 | 商品名 |
鉱物系 (ベントナイトなど ) | 水分で固まり、消臭力が高い 砂かきをしても砂ぼこりが立ちにくい | ・ライオン「ニオイをとる砂」 ・花王「ニャンとも清潔トイレ 脱臭・抗菌チップ」 ・ユニ・チャーム「デオトイレ さらさら消臭サンド」 |
木系 (おがくず、ひのきなど) | 軽くて消臭力が高い 燃えるゴミとして捨てられることが多い | ・スーパーキャット「システムトイレ用天然ひのき脱臭チップ」 ・花王「ニャンとも清潔トイレ 脱臭・抗菌チップ」 ・ユニ・チャーム「デオトイレ さらさら消臭サンド」 |
紙系 (再生紙など) | 軽くて持ち運びやすい 吸収性が高い | ・ライオン「ニオイをとる紙砂」 ・ユニ・チャーム「デオサンド」 ・エバークリーン「ナチュラルウッド」 |
おから系 (大豆の搾りかす) | 食物性で安全性が高い トイレに流して捨てられるものも多い | ・花王「ニャンとも清潔トイレ 脱臭・抗菌チップ おから入り」 ・ライオン「おからでできた猫砂」 ・ユニ・チャーム「デオサンド おから入り」 |
シリカゲル | 粒が細かく消臭力に優れている 水分を含んでも固まらずに そのまま乾く | ・ライオン「シリカゲルの猫砂」 ・スーパーキャット「シリカゲルのチップ」 ・ユニ・チャーム「デオトイレ 消臭・抗菌シリカサンド」 |
鉱物系、シリカゲル系、紙系、木系など、さまざまなタイプの砂があります。猫によって好みが異なるので、いくつか試してみて、猫が気に入るものを見つけることが大切です。また、消臭効果や砂の飛び散りにくさなども考慮しましょう。
猫砂は猫掻きができる十分な量をいれておくことです。ただし、多ければいいというものでもなく、あまりにもたくさんの砂を入れてしまうと、砂の上でのバランスが取りにくくなり、排泄がしにくくなるので注意しましょう。
トイレの設置場所
トイレの場所は、猫が安心して使用できる場所に設置しましょう。静かで人通りの少ない場所、かつ猫がアクセスしやすい場所が最適です。
場所を頻繁に変えるのも猫を混乱させるので、一定の場所に設置しあまり動かさないようにしましょう。
また、食事の場所とは離して設置するのもポイントです。猫はきれい好きなので、トイレのそばでは食事をしたがらないこともあります。
複数階に住んでいる場合は、各階に1つずつトイレを設置することをおすすめします。猫はトイレを使いたくても、アクセスが難しい場合には別の場所で排泄してしまうことがあります。
引っ越しなどでトイレの場所が変わった時やトイレごと買い替えた時も、新しい環境でトイレを認識できていることを確認してあげてください。もしトイレを避ける様子があれば、落ち着いてできるように場所や猫砂の種類を替えることで解決することもあります。
多頭飼いの場合
もし複数の猫を同時に飼っている場合は、猫の頭数プラス1〜2個のトイレを設置しておきましょう。他の猫が使っているトイレを使わないことも多いですし、したい時にすぐできないとストレスや腎機能の疾患につながります。
安心してトイレを利用できるように少し多めに用意しましょう。
3. トイレの清潔さを保つ
猫は非常にきれい好きな動物です。トイレが汚れていると使用を避けることがありますので、毎日しっかり掃除をしましょう。排泄物はこまめに取り除き、砂をかき混ぜることで、清潔さを保つと同時に匂いの発生も抑えることができます。
定期的なトイレ砂の交換
トイレ砂は、定期的に全て交換することが重要です。使用頻度にもよりますが、一般的には1〜2週間ごとに全交換することをおすすめします。
ただし、砂を全交換したことで匂いがなくなり、トイレを使わなくなるようなことがあれば、古い砂を一部混ぜておくようにすると解決することが多いです。
また、トイレ自体も水洗いや消毒を行い、衛生的な状態を保ちましょう。
消臭対策
トイレの匂いは、飼い主にとっても猫にとっても不快なものです。消臭効果のあるトイレ砂を選ぶことや、専用の消臭スプレーを使用することなどの対策を行って、匂いを軽減しましょう。
また、トイレの設置場所には、換気の良い場所を選ぶことも効果的です。
4. トイレの問題行動への対処
猫がトイレ以外で排泄してしまったり、突然トイレを使わなくなったりすることがあります。
そんな時は、まず原因を特定することが重要です。トイレの清潔さや設置場所に問題がないか確認しましょう。トイレ自体は変わっていなくても、トイレ周りの環境の変化が影響していることもあります。
知らず知らずのうちに猫がストレスを感じている可能性も考慮し、環境を見直すことが大切です。
トイレ以外での排泄
子猫の時や、新しく迎えた猫のトイレトレーニング中に、本来トイレでない場所でしてしまうことは結構あります。そんな時は、しっかりと拭き取り、匂いも残らないようにしましょう。痕跡が残っていると、そこがトイレだと勘違いして、何度も同じ場所でしてしまいます。特にフローリングの溝などに匂いが残ることが多いので、念入りに掃除しておきましょう。
トイレの拒否
猫が突然トイレを使わなくなることがあります。これは、トイレの環境に変化があった場合や、新しい猫が加わった場合などに見られることが多いです。トイレの種類や砂を変えてみる、トイレの場所を変えてみるなど、猫が快適に感じる環境を再構築することが重要です。
5. トイレトレーニングの成功への鍵
根気よく続ける
トイレトレーニングには、時間と根気が必要です。失敗があっても焦らず、猫にストレスをかけないように注意しましょう。成功した時には必ず褒めたりご褒美を与えることで、猫はトイレを使うことが良いことだと学んでくれます。
獣医師のアドバイスを受ける
トイレの清潔さや砂の種類、トイレの設置場所にも問題がない場合、ストレスや病気が原因でトイレを使わなくなることもあります。
なかなかトイレに入ろうとしない、体勢を決めるまで時間がかかる、排尿回数が少なく排尿時間が長い、使用後に排泄物の匂いを何度も嗅ぐ、何度もトイレに戻る、開始から終了までの時間が長いなどが見られたら、排泄関係の疾患も疑う必要があります。排尿後、排便後に痛がっている様子はないか、排泄物に出血などの異常はないかを確認しましょう。
行動に変化が見られる場合は、獣医師に相談することも大切です。トイレトレーニングがうまくいかない場合や、猫の健康に関する疑問がある場合は、早めに獣医師に相談しましょう。猫にとって最適な環境を整えるためのアドバイスを受けることで、問題解決への道が開けます。
まとめ
猫のトイレトレーニングは、猫との快適な生活を築くための基本です。トイレの選び方、設置場所、トイレ砂の選定、そして日々のケアをしっかり行うことで、猫は快適にトイレを使用することができるようになります。問題が発生した場合には、冷静に対処し、必要に応じて専門家の助言を受けることが大切です。根気よくトレーニングを続け、猫との信頼関係を深めながら、清潔で快適な生活を送りましょう。
この記事が、猫のトイレトレーニングに役立つ情報を提供できることを願っています。トレーニングを成功させるために、しっかりと準備し、猫にとって最適な環境を整えてください。
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